美容業界といえば、2月にエステティックサロン大手「たかの友梨ビューティクリニック」を運営する不二ビューティが広告事業などを手掛けるRVHに買収されたことが記憶に新しい。

 一体、美容業界で何が起きているのか。

「近年の美容業が直面する逆風の要因は主に3つ」と指摘するのは信用調査会社・東京商工リサーチの松岡政敏氏。

「ひとつは消費者保護の機運が強まったこと。これまでは数十万の施術料を月ごとに分割して支払うケースが多く見られましたが、このような高額のプランを組むのが難しくなっている。事実、業界最大手でも一回いくらでやっています。また、サロンの運営には高額な機械を導入する必要がありますが、その資材費を賄えるほど顧客が集まらないのも大きな問題。そして、エステティシャンの人件費の高騰も影響しているようです」

 東京商工リサーチの調査によると、エステティック業の倒産は2014年の30件、2015年の43件、2016年の51件と右肩上がりに増えている。今後も倒産が増え続けるかは不透明だが、「過当競争の傾向は顕著なため、大手が小規模経営のエステサロンを買収し、集約が進む可能性はある」(松岡氏)とのことだ。

 奇しくも倒産した脱毛サロンの名は“永遠の迷路”を意味する「エターナルラビリンス」。行き先をなくした会員たちが迷路から脱出できる日は来るのだろうか。(取材・文/dot.編集部 小神野真弘)