「まず試しに、大体100文字の原稿を『ひらがな』で書いてみてください。テーマは何でも結構です。そして、その原稿を何度も何度も、そらんじるレベルまで読み込んで覚えてください。読み終えるまでの時間は、15秒です。覚えたら、今度は原稿から目を離して、誰かに伝える気持ちで15秒でおさまるかどうかを確認してください。この、15秒で『ひらがな100字』というのが、アナウンサーが体で覚えている、理想のスピードなのです」

 理想のスピードを習得するだけで、上手なスピーチになるわけではない。ボソボソ話したり、何を言っているのか分からなかったり、舌足らずな言い方で聞きづらかったりと、いろいろと問題はある。そこで大切になるのが、ふたつ目の「滑舌を意識せよ」だ。

「自分の滑舌に問題があると思ったら、舌ではなく、『口の動き』に注意してください。『ア・イ・ウ・エ・オ』の母音を口の形を意識しながら、鏡の前で発音してください。一音一音を丁寧に伝えようという意識が滑舌の基本です。それは、一音一音、口の形を意識することにつながるのです」

 もちろん、ここでも、頭の中に「ひらがな」の文章を浮かべて話すことを忘れてはいけない。

「ひらがなにすると、『が』が鼻濁音だと気づきます。濁音ははっきり発音せずに、鼻から抜けるきれいな鼻濁音を意識してください。ひらがなに直し、口の形を意識する。この練習をしていると、滑舌がいいというのは、歯切れがいいということだと気づくはずです。歯切れのいい話し方を意識すれば、おのずと気持ちのよい話し方になっていくはずです」

 3つ目の技は「ユーモアを交える」。言うは易く行うは難し。そう感じる人も多いだろう。そこで浅沼さんから、こんなアドバイスがあった。

「スピーチというと、ウケを狙おうとする人が多いですね。でも、狙おうとすればするほど、確実に失敗します。あくまで、その場を和ませるためのユーモアだと考えれば、気も楽になるし、それが成功につながるのです。私たちは芸人さんではないのですから」

 確かにこの3つの技なら、今日から無理なく実践できそうだ。完璧なスピーチとまではいかなくても、納得の行くスピーチで歓送迎会を楽しんで欲しい。

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