開幕戦のセレモニーで整列したアルバルク東京(右)と琉球ゴールデンキングスの選手たち=9月22日、代々木競技場、西畑志朗撮影 (c)朝日新聞社
開幕戦のセレモニーで整列したアルバルク東京(右)と琉球ゴールデンキングスの選手たち=9月22日、代々木競技場、西畑志朗撮影 (c)朝日新聞社
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 男子バスケのBリーグが、好スタートを切った。9月22日の開幕戦「アルバルク東京×琉球ゴールデンキングス」のチケットは最安でも5500円という高額だったが、20分でソールドアウト。24日に行われたB1の8試合も、6試合が完売している。

 物珍しさで来場した一回限りのファンもいるだろう。しかしアリーナに足を運んでもらわなければ、プロリーグは始まらない。まず満員という実績を作ることが、前売り券やシーズンチケット購入の引き金にもなる。そう考えればBリーグの“つかみ”はOKだった。

 開幕戦の演出はBリーグが全力をかけた内容だった。音響や照明、パフォーマンスに力を入れるということは、当初からアナウンスされていた。ただし私はかなり不安も持っていた。以前バレーボールのワールドカップを、同じ代々木第一体育館で観戦したことがある。ノリの悪い私は、かなり肩身の狭い思いをしたからだ。

 バスケに限らず「煽る」「押し付ける」演出が苦手な方は多いだろう。開幕戦と今後のBリーグがそんな雰囲気になったらどうしよう……、というのは一つの懸念だった。しかし、そんな私が開幕戦で実際に経験したのは、今まで経験したことのない陶酔感。軽さや同調圧力もなく、自然に気持ちを掴まれる仕掛けだった。特に視覚へ訴える演出が素晴らしく、照明という言葉では片づけられないアート作品だった。

 Bリーグの前身のひとつであるbjリーグもプロとしてこだわりを持ち、アリーナの演出に力を入れていた。ただBリーグ開幕戦は次元が違った。予算をかけ、才能と手間も活用し、そこに1万人の熱気が加われば、日本でもああいう空間を作れる。しかも私のようなスポーツオタクが楽しめる。それは開幕戦の現場で感じた収穫だった。

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