現地17日、リオ五輪の女子レスリングが初日を迎え、48kg級の登坂絵莉、58kg級の伊調馨、69kg級の土性沙羅が、そろって決勝で逆転勝ちを収めて金メダルを獲得した。
女子の個人競技では史上初となる五輪4連覇がかかっていた伊調は、「普段通り」を強調していたものの、やはり緊張して試合当日を迎えていた。ふだんは失点が少ないのが特徴だが、今回は先制され、試合終了まで残り5秒からの逆転優勝だった。4連覇は重圧だったのかとの問いに、プレッシャーではないと前置きしながらも、伊調は「戦うのが怖いと思ったのは、初めて」と答えた。
伊調は姉の千春と一緒に金メダルを目指していた2004年アテネ五輪、08年北京五輪が終わったあと、試合の勝敗よりも内容を優先してきた。しかし、今年1月に行われたロシアのヤリギン国際大会でオホン・プレブドルジ(モンゴル)に敗れ、13年ぶりの敗戦という経験をしたことで、大きな方向転換を迫られた。その結果、リオ五輪では、再び金メダルを獲得することを最優先事項に据えたのだ。
「五輪というのは難しいですね。結果と内容を両立させるのは無理なんだと思います。完全に割り切ることも難しくて、勝ちにいきたい気持ちと、自分のレスリングを出したい気持ちが試合中も、試合直前の練習でも湧いてきました。決勝の内容はひどかったと思います。でも、この金メダルはいろんな人の思いが積もったすごく重たいメダルです。これまでとってきたメダルの中で、一番うれしくて、一番重たいかもしれない」
伊調は試合後、そう振り返った。