「大麻の作用は人によって大きく異なり、多量に摂取しても判断力を失わない人もいれば、少量でも酩酊して認知機能が低下してしまう人もいる。アルコールのように明確に摂取基準をもうけるのは難しく、上限が決めづらい。日本ではハーブ(危険ドラッグ)使用者による暴走運転事故が多発しましたが、それと同じような状況になる危険性も否めません」(医療ジャーナリスト)
また、大麻は精神疾患や統合失調症を誘発するとの海外の研究仮説もある。それでも「医療大麻」の解禁は、苦しんでいる患者の助けになるのなら日本も前向きに検討すべき課題に思える。
「米国では医療大麻の解禁後に『最近よく眠れない』といった程度で医師から大麻が処方されるようになった。結果、医療目的ではない使用者が大量に発生し、嗜好品としての解禁と大差なくなっている。また、日本では法的問題で研究すら困難であるため、医学的効果もデメリットも不確定です」(同)
研究の環境を整える必要はあるが、解禁となると問題は山積……熱狂的な大麻解禁論者のようにむやみに賛美することなく、かといって「ダメ。ゼッタイ。」で思考停止することなく、科学的研究を基に冷静に議論していくべき問題といえるだろう。(ライター・別所たけし)