アトレティコ・マドリーは、ディエゴ・シメオネ監督が「1-0の勝利の方程式」を確立した。GKヤン・オブラクの安定感は際立ち、CBディエゴ・ゴディンを中心に“シュートを打たせない”という二重三重の守備の層の厚さは白眉だった。コケ、サウール・ニゲスがサイドを制圧して優勢を与えず、カウンターも神速を尊び、アントワーヌ・グリーズマンが決定力を見せつけた。
しかし最後は最下位レバンテに1-0から逆転負け、優勝争いから脱落した。数日前にミュンヘンで強敵バイエルンを破り、チャンピオンズリーグ(以下CL)決勝に進出した後で、選手は精気に欠け、いつもの激情がプレーに乗り移らなかった。
そして、この3強だけではないのがリーガの奥深さだろう。
ウナイ・エメリ監督率いるセビージャは、ヨーロッパリーグ(以下EL)決勝でリバプールを下して3連覇を達成。エメリの用兵術は巧みで、ビトーロを中心にワンサイドを崩して戦局を動かすなど、戦術的柔軟さはリーガ屈指だった。同じくELで準決勝に進み、リーガは4位でCL出場権を得たビジャレアルも、高速カウンターを確立。22才、デニス・スアレスの台頭は著しかった。
今シーズン、最も将来性を感じさせた若手は、20才のマルコ・アセンシオ(エスパニョール)、19才のミゲル・オヤルサバル(レアル・ソシエダ)の二人だろう。アセンシオは左利きでタイミングをつかむのが上手く、大柄な身体だがするすると抜け、決定的プレーを見せる。オヤルサバルも左利きで腰が強く、猛者相手にも踏み込める。バルサを沈めたヘディングシュートのように、“ゴールの星”を持つ。