「調布AEDマッピングムービー」から
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「調布AEDマッピングムービー」から
「調布AEDマッピングムービー」から

 東京・調布市で、ダンスをしながら自動体外式除細動器(以下「AED」)の設置場所を紹介する一風変わったムービーが製作された。

 この作品では調布オリジナル楽曲にのせて、調布市内のさまざまな場所で、踊る人たちの様子が次々と紹介され、同時にその近辺にあるAEDの設置場所や使用可能な時間がテロップで流れる。これによって、意外と知られていないAED設置場所や利用可能時間などを周知してもらうことができる仕掛けだ。

 このムービーは調布市と、街の課題をテクノロジーで解決するクリエイティブ集団「Code for Chofu」が連携することにより実現した。

 ことの発端は、 昨年10月26日にCode for Chofuが調布市主催の総合防災訓練で行ったイベント「調布マッピングパーティ02」にさかのぼる。これは、市内のAED設置状況(設置場所の様子やAED現物写真、使用可能時間など)を調査し、ネット上のオープンストリートマップに記載することを目的としたもので、約300人が参加し、同種のイベントでは世界最大規模となった。このマッピングパーティで得た、AEDの設置場所・使用可能時間をどのように街の人たちに伝えるかという議論の中で生まれたのが今回の企画だ。

 現在AEDを取り巻く現状として「設置場所の認知度が低い」「利用可能時間が限られている設置場所が多い」「使用方法を知らない人が多い」という課題があり、調布市でも同様の状況にあった。これに対して、同企画の発起人である株式会社LockUPの長尾純平さん(Code for Chofuのメンバー)によると、市民が主役となって楽曲に乗せて踊りながら楽しく伝えることによって、

1.映像を楽しみながら、すりこみ的にAEDの設置場所・利用時間・使用方法を覚えることができる。

2.出演した調布市民が、家族・親せき・知人・友人に伝えるので、バイラル(クチコミ)拡散で広がることが期待できる。

3.ムービーを街の主要施設や飲食店で流すことによって、パソコンで動画を見ない市民でも受動的に目に触れる機会が多くなる。

という効果が期待できるという。さらに、市民が出演することで、お互いが顔なじみになり、災害時に迅速な連携や協力体制が作りやすくなる。

 この取り組みは3月15日、16日に仙台で行われた国連防災世界会議のパブリックフォーラム「Asia Resilience Forum」内で、Civic Tech (シビックテック:市民が地域課題を解決するためのテクノロジーや、活動)の理想的な事例として紹介された。

「このムービーがたくさんの市民の目に触れ、さらにはCivic Techのモデルケースとなって、ほかの地域でも盛んに行われるようになることいいですね」と長尾さん。

 ユニークな試みがAEDの課題を解決してくれるのかが注目される。

【関連動画】
調布AEDマッピングムービー
https://www.youtube.com/watch?v=8hGoBxjDT8A