米国マイクロソフト社の共同創業者であるポール・アレン氏は3月13日午前、フィリピン近海の沈む戦艦武蔵の「ライブ配信」を行った。艦首や艦の前部に装備されていた「15.5センチ砲」の砲塔、砲弾、機銃などが鮮明に映し出されたほか、長らく謎だった沈没状況も明らかになった。
「15.5センチ砲」は「副砲」と呼ばれ、武蔵のなかで二番目に大きな“大砲”だ。船体から砲塔が外れた状態で海底に沈んでいた。また、砲身は失われていたが、内部の構造がわずかに見える。このほか、大砲の砲弾とみられる残骸も公開されたが、主砲か副砲なのか、現時点では判別がつかない。
1944年10月、戦艦武蔵が米軍機の猛攻で撃沈されて以来、謎とされてきた沈没状況もわかった。海底に到達する前に、船の中央部分はバラバラになってしまい、ほとんど原形をとどめていない。「ある程度は原形が残っているのではないか」という期待もあったが、激しい戦闘のダメージはやはり大きかったようだ。
とはいえ、艦橋は原形をよく残している。敵艦との距離を測る「測距儀」や双眼鏡を設置する部分も鮮明に映っている。ただ、注目が集まっていた主砲である「46センチ砲」の砲塔部分は見つかっていない模様だ。
今回の調査結果を詳しく分析すれば、戦艦武蔵の“最期”がはっきりする可能性も高い。
(dot.編集部・金子哲士)