進学や就職で引っ越しを予定している人も多いこの季節。特に初めて一人暮らしをする人にとっては、部屋探しは最初の大仕事だろう。期待に胸を膨らませる反面、不安も心配もつきない……そう思うのは本人だけでなく、親も同じ。親子ともども満足できる部屋は、どのようなものなのか?
パナソニック株式会社が行った、一人暮らしをしている娘とその母親を対象に実施した「20代女性のお部屋探しに関する調査」によると、部屋を最終的に決めるのは娘が70%、母親が決定するのは16%に過ぎない(父親は7%)が、実際に引っ越しを経験した母娘の83%が「母親と一緒に探した方が良いと思う」と回答している。それなのに、データからは双方の希望や満足度のすれ違いが浮かび上がってきた。
「費用」「間取り・設備」「安全・安心」「ロケーション」「周辺環境」の5項目に分けて、母娘それぞれの優先順位をみれば、違いは歴然としている。
娘が部屋さがしで最も重視しているポイントは、なによりまず「費用」。一方、母親たちが最も重視するのは、「安全・安心」(娘の優先順位では4位)だった。母親たちにとって「費用」は2位。それ以外は、「間取り・設備」「ロケーション」「周辺環境」と、母娘共に同様の並びとなった。
毎月の生活を考える娘。何よりも娘の安全を願う母親。実際に13%の人が「部屋探しの際に、母娘でケンカをしてしまった経験がある」と答えている。
部屋の構造でも意見は食い違う。「部屋の仕様・設備」に限定した上で、母と娘のそれぞれにこだわったポイントを複数回答形式でたずねたところ、娘が最もこだわったのは「セパレートタイプのバス・トイレ」(66%)、次いで「広さ」(55%)、「間取り」(53%)、「収納」(39%)という順になった。一方、母親がこだわったのは「オートロック」(38%)、次いで「セパレートタイプのバス・トイレ」(35%)、「住戸の向き」(33%)、「間取り」(33%)という結果だった。ここでも快適さ優先の娘と安全優先の母親である。
では選んだ部屋に実際に住んでみると、どうだったのだろうか。
「実際に一人暮らしを始めた部屋の感想」を自由回答形式で聞いたところ、母親からは、「オートロックやモニターホンがついてないので、セキュリティの関係であまり満足できなかった」というように、予算や娘の希望を優先した結果、セキュリティや防犯面での設備に妥協したことを後悔する声が見られた。なんといっても娘の7割が母親を押し切っているのである。
一方、娘側からは「お風呂とトイレが別で、キッチンが広かったから選んだが、断熱が甘い物件だったため、冬が寒くて困った」というように、住んでみてはじめて気づいたポイントに不満を抱く人が多数見受けられた。実際に入居した後に、オートロックや、周辺地域の治安や騒音などの重要性に気づいたという人も少なくない。
本当に気に入った部屋を探すのは、経験者でも難しいものだ。だが、住んでみて気づくことは、住む前に確認できることもかなりあることを考えれば、部屋を見る前に様々なチェックポイントをリストにしておく等、事前準備が満足度を分けるということかもしれない。