子どもの安全・安心と健やかな成長発達に役立つデザインの普及を目指すNPO法人キッズデザイン協議会は、第8回キッズデザイン賞の受賞作を発表した。過去最多の408点の応募の中から選ばれたのは272点の製品、施設やサービスなどで、8月にはさらにこの中から「内閣総理大臣賞」をはじめとする優秀作品が選出され、表彰される。
キッズデザイン賞とは「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」「創造性と未来を拓くデザイン」「子どもを産み育てやすいデザイン」に焦点をあてた顕彰制度。子供向けの製品・サービスだけでなく、大人向けでも子どもの目線を持った施設や、調査研究活動なども含まれる。
初回から8年連続の受賞となったミサワホームは今回、5点が受賞した。日常的にコミュニケーションを図る場として玄関ポーチと中庭を考え、近隣のつながりを深くした地域交流型の二世帯住宅や、子ども自身が防犯意識を高めるためのセキュリティデザインといった製品のほか、家族とのコミュニケーションを通じて子どもの思いやりや社会性を育む「お手伝い」についてのユニークな行動特性調査もある。
審査委員長の増田文和氏(東京造形大学教授、オープンハウス代表取締役)は、「未来は、すぐそこにいる子どもたちの中にすでに育ちつつある。その子たちが5年から20年のうちに大人になった時の姿こそが未来の社会そのものである」と話す。
その意味でも、子育てをしている、いないに関係なく、なんらかのかたちで子どもと接するとき、それが子どもの成長、そして未来に対し影響力があるということを、大人は意識していなければならない。
表彰といえば、こんな話がある。
川崎市の、ある築30年の大規模マンション。角には、小さいながらも交通量の多い危険な十字路がある。そこに立つ「みどりのおばさん」。40歳の時にボランティアで始めて約30年、守ってきた子どもたちは数知れない。車を先に行かせてから子どもたちを渡らせる。事故防止のためだけではない。「大人が納めた税金で子どもたちは学校に行くサポートをしてもらっている。だから、仕事に出かける大人に感謝をこめて先に通ってもらうのです」。また、交通整理にとどまらず、子、親、さらには毎朝通るサラリーマンやOLたちの心をほぐす役割も担ってきた。
かつての小学生たちも、いまだに彼女に会いに来たり手紙をよこしたりするという。「みどりのおばさん」から受けた優しさや厳しさを、今自分の子育てにいかしているという人も。
その「みどりのおばさん」のいる風景が当たり前となって30年がたち、存在の大きさを改めて知った住民が、地域の守り人として彼女に感謝の表彰をしたのだ。十字路の教育、ここにも未来=子どもを育むデザインがある。
※子育て住宅の間取りと実例はコチラ http://www.misawa.co.jp/kosodate/
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