1品200円均一の居酒屋に200円の弁当と、激安商品が並ぶ日本。その裏では人件費も激しく値崩れしているという。日本総合研究所主席研究員の藻谷(もたに)浩介氏はそうした現状を見て、日本の「中国化」を危惧する。

*  *  *

 商品の値崩れが続く日本では、その裏で人件費も激しく値崩れしています。現役世代の数が減っているのに人手不足の声は聞かれず、仕事がないので安い賃金で働く日本人がどんどん増えています。

 このままいくと、日本はどんどん中国のようになっていくのではないでしょうか。中国は人件費が安く、一般の人の食べているものはおいしくないし、サービスレベルも低いし、公共交通機関のリスクは高い。関越道の高速ツアーバス事故に、そういう予感を覚えます。

 JRの北陸行きの夜行寝台列車は、高いけれども安全でした。それが乗客減で廃止になり、安いけれども事故リスクのある夜行バスが全盛です。正に「中国化」といえましょう。

※週刊朝日 2012年7月6日号

[AERA最新号はこちら]