相続対策と聞いて、家族間の骨肉の相続争いを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか? しかし、2015年1月の相続税制改正を前に、その認識を改めるべきかもしれません。
国税庁のまとめによれば、2011年に亡くなった人のうち、相続税の支払い義務が発生する人の割合は全国平均で4.1%に過ぎませんでした。しかし、15年の税制改正にともなう基礎控除額の4割引き下げによって、新たに相続税の課税対象となる世帯が倍増するという試算もなされています。
一部の資産家だけでなく、多くの人の関心事になると予想される相続税。そこで、相続税対策を考えるなら不動産、とくに「都心のタワーマンション」が最適だと提唱しているのが、『タワーマンション節税! 相続対策は東京の不動産でやりなさい』の著者である沖有人氏です。
相続税額を決めるもととなる「相続税評価額」をいかに低くするかが節税の鍵となります。以前から、相続税の減額には不動産運用が効果的であるということは税理士業界では一般論として知られていました。しかし、本当のところ、どの程度の効果があるのか、どんな物件が向いているのか、誰にたのめばいいのか、きちんと答えられる人はほとんどいませんでした。
そこで沖有人氏は、自身が運営する不動産情報会社アトラクターズ・ラボの会員16万人を対象にアンケートを実施。これを分析した結果、不動産の活用で実際に評価減となることが明らかになっただけでなく、評価減になりやすい物件の具体像がわかったのです。さらに、これがタワーマンションだと、節税効果はより高くなります。
マンションの「相続税評価額」は、土地は土地、建物は建物として別々に評価されます。そして、土地の評価額はマンションの敷地面積全体を路線価で評価してから、各戸が持っている専有面積に応じて按分計算されるため、タワーマンションのように何百戸という大規模なスケールだと、当然、1戸当たりの土地の持ち分が少なくなり、そのぶん評価額も小さくなるのです。
また、タワーマンションならではの特徴として、眺望がよくなるなどの理由から、一般的に高層階ほど分譲価格が高くなる傾向にあります。それに対し、「相続税評価額」はあくまで面積に応じて決まるため、実際の取引価格に対して評価額を大きく減らしたいのであれば、高層階の単価の高い住戸を購入したほうが有利ということになります。
眺望の良さを理由に人気の高いタワーマンションの高層階。2015年の相続増税を前に、“節税”という新たな魅力も加わるのかもしれません。