株を始めたばかりの頃は、1円、2円といった小さな値上がり益を積み上げていく「スキャルピング」という手法をとっていた。1カ月のうちに1日か2日しか負けはなく、マイナスが続くことはほぼなかったという。

「何千回となく繰り返した取引の一回一回について、期待できる勝率は50%を少し超えるくらいだったと思います。しかし、ジャンケンゲームと同じで膨大な回数の取引を続けていれば、どうやってもプラスになると確信していました。トレード全体ではリスクを取らなかったということです」

 投資を始めた当初は超短期売買だったが、今では週単位の中長期投資が中心。

「超短期でも中長期でも、勝率の高いものに張るスタイルは変わっていません」

 初めて投資をする人は買った商品が値上がりするか値下がりするかわからず、損を怖がる。テスタさんはその姿勢を疑問視。

「怖いものに投資する時点ですでに間違いだと思います。『当然、勝てるよね』と誰もが納得できるくらい勝率が高いものを見つけて、勝てそうなときだけ投資していくのが、本当のリスク管理なんじゃないかと」

 テスタさんは、株や外国債券をプロが運用する投資信託は買わない。自分で運用したほうがいいと考えるからだ。ただ、初心者が投資信託を買うことは否定しない。

「投資の技術や知識がないなら、投資信託の長期投資もアリです。手数料も昔と違って安くなっていますし、金利がほぼ付かない預貯金よりも魅力的です」

 自身も現在、40社ほどの企業の株を保有し、中には何年も持ち続けている銘柄もある。こちらは短期的な株価変動に一喜一憂せず、配当をもらうために買った。

「長期保有する企業の株価はたまにしか見ません。株価を確認しなくていいので、時間を買っているように感じます」

 柔和な笑み、穏やかな語り口に余裕を感じる。自分のペースで市場と向き合い、決して振り回されない信念があるのだ。テスタさん、これから投資を始めたい人に勧める商品は何ですか?

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預貯金では物価の上昇分を埋められない