SRIは欧米に端を発し、タバコやアルコール、ギャンブルなどキリスト教の教えに反する分野に関わる企業を投資対象から除外したのがルーツだと言われ、1999年に国内初のSRI投信が登場している。そこで、SRIまで対象を広げ、比較的長期間の運用実績を検証できる投信を比較したのが表だ。
設定時期が異なるので累積リターンを単純に比較するのは乱暴だが、たとえば「朝日ライフSRI社会貢献ファンド」は20年近くで69.3%の収益率になっていることがわかる。約10年で66.3%の「チャイナ・グッドカンパニー」のように高収益率のものもあるが、細かく推移を検証すると浮き沈みも激しく、長期的に高水準を維持できるか否かはわからない点に注意が必要だ。
実は、これら12の投信はいずれも、過去10年間における収益率ランキングで国内トップ20に入っていない。前出の篠田氏は言う。
「グローバルに展開している大手の外資系運用会社は、ESG・SRI関連と銘打っていなくても、その観点で投資対象を選別しているケースが多い」
このような会社が手がけ、中長期で安定的に高実績を残している投信を選び、ホームページなどで銘柄選定の説明を吟味してESGを重視していることを確認すれば、より高いリターンとSDGsを両立できる。
表にあるESG・SRI投信は、「ちょっとそこまでは……」という人向けと言える。(ライター・大西洋平)
※AERA 2020年4月6日号より抜粋