

「コンビニ百里の道をゆく」は、50歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなられました。
50歳の私はまさに「8時だョ!全員集合」のど真ん中世代。ニュースやスポーツ中継しか見ない両親の目を盗み、「全員集合」を見るのが毎週の楽しみでした。
数々の名コントのなかでもヒゲダンスの面白さは格別で、チャプリンの無声映画を見ているようでした。言葉少なに体を使って面白いことを表現する。小学生もまねできる単純さで、教室でクラスメート全員が踊る。でも、そこにはとても深いものがあったのではないかと思うのです。
志村さんの突然の訃報に接し、心に穴があいたような気持ちです。3月上旬まで元気にテレビの収録もされていたと聞きます。志村さんのように急速に重症化する人もいれば、無症状感染者と言われる人たちもいる。症状の出方が全く異なるのが、このウイルスの怖さだと感じています。
中国に駐在する社員らと話すと、武漢を封鎖したあたりから中国国内の空気感が変わったと言います。その頃、重症化した患者の映像がSNSなどで拡散され、国民の行動が一変したそうです。
日本では、7日に緊急事態宣言が出され、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県で外出の自粛が要請されました。ローソンはお客様や店舗で働く方の安全性に最大限の配慮をしながら、生活インフラとしてできるだけ営業を継続していきます。
本部社員には加盟店を可能な限りサポートし、マチをしっかりと支えていくことがわれわれの使命だと伝えました。このウイルスとの闘いは長期戦になることを覚悟しなければなりません。
こういう時だからこそできること、やるべきことを強く認識し、実行し続けることが何より大切だと考えています。
※AERA 2020年4月20日号