

「天才!志村どうぶつ園」(日本テレビ系)の存続が決まった。新型コロナウイルス感染による肺炎で急逝した「園長」の志村けんに代わって「飼育係」の相葉雅紀が中心になっていくようだ。4月4日の放送では、
【写真】志村さんも治療に使っていたという人工肺「ECMO」がこちら
「目を閉じれば、園長がいるので。だから、僕は前を向きます。みんなを笑顔にできるように、これからも頑張っていきます」
と、涙ながらにあいさつ。その姿にしみじみしつつ、これでひとつの「禅譲」が達成されたのだなとも感じた。当事者はもとより、日テレやジャニーズ事務所、そして視聴者にとっても、この継承は既定路線というか、いずれはそうなると予想されていた流れのように思われる。
その4日後には「特捜9」(テレビ朝日系)のシーズン3が始まった。こちらの主演は井ノ原快彦。ただし、前身となる「警視庁捜査一課9係」は渡瀬恒彦の主演でスタートし、シーズン12の第2話からイノッチの主演になった。これもまた、渡瀬の死による「禅譲」である。
4月7日の「徹子の部屋」では、イノッチが「大恩人」こと渡瀬との「文通秘話」を語った。相葉のケースもそうだが、若手だったアイドルが大御所芸能人の薫陶を受け、成長してその仕事を引き継ぐというのは好感を得られやすい。ジャニーズ事務所にとっても理想的な展開だろう。
なお、ジャニーズと大御所の交流といえば、有名なのが東山紀之と森光子だ。しかし、性別が違うと「禅譲」は難しい。ヒガシが舞台「放浪記」を引き継ぐわけにはいかないのだ(でんぐり返しはお手のものだろうが……)。
そのかわりといってはなんだが、ヒガシは「必殺」シリーズ(テレビ朝日系)を藤田まことから引き継いだ。かつてはひかる一平がレギュラー出演したこともあるが、こちらは堂々の主役であり「必殺仕事人2007」を皮切りにスペシャルドラマや連ドラが毎年のように作られている。
この継承にあたっては、藤田を総元締として登場させ、ヒガシは「ムコ殿」という中村主水的イメージは持ちながらも、別のキャラだという工夫が凝らされた。また、彼は若い頃から「名奉行 遠山の金さん」(テレビ朝日系)シリーズに出演して、松方弘樹にかわいがられるなど、時代劇にも慣れていた。こうした配慮や親和性が、成功につながったわけだ。