世の中にはさまざまな健康法がある。順天堂医院で「便秘外来」を開設した順天堂大学の小林弘幸順天堂教授は、健康でいるためには腸内環境と自律神経のコントロールが不可欠であると説く。
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腸内環境を整えるためのポイントは三つ。一つ目は、発酵食品や乳酸菌を取って善玉菌を増やすこと。二つ目は、善玉菌のえさとなる食物繊維やオリゴ糖を取ること。三つ目は、悪玉菌をやっつけること。それには納豆などが有効です。
食事の回数と食べ方も大切ですよ。腸を常に動かすためにも、きちんと朝昼晩食べるべきです。一日一食、という考えもあるようですが、私は三食をすすめます。体内時計を調節するためにも、特に朝食は絶対に取っていただきたい。
男性は30歳、女性は40歳でガクッと体力が落ちることが調査でわかっているのですが、そこにも副交感神経が関わっています。加齢とともに副交感神経が急降下するからです。それで血管の老化が進み、免疫力も低下して病気にかかりやすくなります。
下がりがちな体力を維持するためには、適度な運動が必要です。日本人の運動実施率は高く、週2日以上、1回30分以上、ややきつめの運動をする人は50代で48.2%、60代で54.3%、70代以上で45.2%というデータがあります。中でもジョギングやランニングは人気があります。でもじつは、ジョギングよりもウォーキングのほうが、健康効果は高いんですよ。
自律神経の力は、何もしなければ10年で約15%ずつ低下し、体全体の老化が進んでしまいます。しかもストレス社会の中では、あっという間に自律神経が乱れます。これからは、乱れないようにするよりも、乱れた自律神経をどうやって戻すかがより重要になるでしょう。
※週刊朝日 2012年6月1日号