韓国レストランや韓流ショップが軒を連ねる都内新宿区の大久保通り。先日、通りを歩いていて、思わず足を止める光景が目に入ってきた。
コスメやアクセサリーショップ、雑貨店の店頭に、なぜかマスクが山積みにされているのだ。
そのうちの一軒に入ると、満面の笑みで店員が対応してくれた。
「1箱50枚入りで税込み3800円ですよ。中国製ですが、3層構造のフィルターを織り込んだ不織布マスクです。個数制限は特にありません。1日当たり300~400箱は売れています。本来、マスクパックをメインにした韓国コスメの専門店ですが、今では売り上げのほとんどが(普通の)マスクですね」
新型コロナの影響で、全国のスーパー、ドラッグストアの店頭からマスクが消えて約3カ月。今もなお、マスク不足は続いている。
それなのに、JR新宿駅からわずか1駅隣の新大久保駅周辺では、全く状況が異なる。
通り沿いにある量販店では、店頭でマスクの在庫状況を掲示しており、ガーゼマスク以外の使い捨てマスク、布マスク、ウレタンマスクを店頭と店内の2カ所で販売しているという。
「仕入れ先は企業秘密ですが、医薬品部門、大工部門など、それぞれの部門のバイヤーがルートを開拓しています。入庫次第、順次店頭に並べるようにしています」(同店担当のエリアマネジャー)
記者が訪れた時は、5枚入りポリウレタンマスク(1袋798円=税別)など3種類が、段ボール箱からあふれ出るようにして売られていた。
新大久保駅近くのレンタルスペースで、4種類のマスクを販売していたのは、日本に来て6年目になるバングラデシュ人のシャミム・エムディさん(32)。50枚入りで1箱3500円から4千円と、通販サイトにアップされている同じ製品より3割前後安い。
「これは中国の業者から直接仕入れています。1月に花粉症シーズンに向けて大量に仕入れたマスクが2月中旬に売り切れてしまい、ようやく3月下旬に新たに入荷したんです」
エムディさんは、都内板橋区の商店街で、洋服と雑貨ショップを経営し、レンタルスペースにも店を出し、マスクを販売してきた。