ユースビオの社名が報道されてから取り沙汰されているのが、公明党の若松謙維参議院議員との関係だ。福島市のユースビオの事務所には若松議員のポスターが貼られており、2015年には樋山社長が若松議員に12万円の寄付をしていることが、政治資金収支報告書に記載されていた。
このため、マスクの納品に若松議員の関与があるのではないか、という見方がネット上などを中心に広がった。この件について尋ねると、樋山社長はこう答えた。
「若松さんは議員になる前からの知り合い。僕は創価学会の3代目でもともと学会員だから、その関係で知り合いだった。いつからかは覚えていないけど、どこかの会合で会って、選挙に出るとき『手伝って』と言われて、行ったこともある。公明党は献金を要求しないが、寄付は個人として出した。癒着といっても、どう癒着するのか。県会議員や国会議員の関わりも言われていますが、彼らが僕が受注したと知ったのは、決まったときですから。事前に彼らにお願いします、と言ったわけじゃない。こういうビジネスは、彼らが入るよりも自分でやったほうが早いですから。公明党を除いて、安倍総理とか、麻生財務相とか、一切付き合いはないですよ」
もう一つ、樋山社長について指摘されているのが過去の「脱税」問題だ。2年前の2018年6月、当時、電気通信機器修理業を営んでいた樋山社長は消費税法違反などの罪に問われ、福島地裁で懲役1年6月、執行猶予3年の判決を受けている。当時の報道によれば、従業員の給与を外注費と装い、約3200万円の消費税などの支払いを免れた、とされている。SNSなどで過去の記事がコピーされて広められたことで、様々な憶測を呼ぶ結果になっている。この件について尋ねたところ、樋山社長はこう説明した。
「仕事のハードルを取っ払うためにも、従業員を全員個人事業主にする契約にしていた。労働基準監督署にも相談して、『これならいい』と許可をもらっていました。ところが、これについて国税から消費税を免れるためだけにやったら違法ですよ、という話をされた。うちは労働基準法の問題だと主張して2年間も戦いましたが、最終的に否認のままだと執行猶予を取れませんよ、と言われて、司法取引に近い形で判決を受け入れたんです」