――4月10日、YOSHIKIさんはニコニコチャンネルの自身の番組「YOSHIKI CHANNEL」で、ファンに自分の声を届けるため、LAの自宅から生配信を敢行した。事前準備から配信中の進行まで、すべての作業をたった一人で行う初の試みは、セッティングトラブルにより遅れてスタート。途中うっかりワインをこぼすなど、イメージとはかけ離れたドタバタ劇が展開された。

 昔、デヴィッド・ボウイさんと対談したことがあって、そのとき彼に「どこまでがステージの自分で、どこからが本当の自分なんですか?」と聞いたんです。彼は「いい質問です。でも難しい問題です」と言って、結局答えられなかった。

 僕もその日以来、ずっと考えているんです。人はみな「そう見られたい自分」と「本当の自分」があると思いますが、考えれば考えるほどその境界がわからなくなってくる。

 ただ、今回の新型コロナによって一つわかったことは、自分はアーティストである前に人間だったんだな、ということ。だからアーティストのYOSHIKIを強調する必要はないし、ありのままの姿をみなさんに見ていただきたいと思ったんです。それは全然かっこいいものではないかもしれない。自炊能力もほぼゼロですし(笑)。でもそんな部分も見ていただくことで少しでも笑ってもらったり、みなさんの心に寄り添えればな、と。

 きっとそう遠くない未来に夜は明けると思う。いまはみんなが暗闇の中にいる。でも、こういうときだからこそ見えるもの、ポジティブなことってどこかにあると思うんです。それをみんなで一緒に探していければと思っています。

 みなさんの健康を心より祈っています。

(構成/編集部・藤井直樹)

AERA 2020年5月4日-11日号より抜粋