安倍首相には知恵と力の官房長官がついているのに、コロナ政策はどうなってしまったのか。緊急事態宣言は誰の権限と責任において決められたのか、まったくわからない。立派な専門家がいる以上、どういった科学的データに基づき、誰がどう判断したのか公表し、意思決定するべきです。
しかし、実際には中途半端で細切れ対応になっている。人との接触を「できれば8割削減する」と言うが、いまだに多くの人が接触だらけの電車を使っている。マスクの配布も、10万円の給付も、原稿の棒読みだけで他人事のように感じる。
権限と責任が明確であれば、その人物が「この状況ではだめだ」「こうしないといけない」と危機感を持って迅速に取り組むはずだ。科学的な説明があれば、どうすればいいか考えられる。こうした状況をつくることもリーダーシップの大切な点です。
今回だけではない。森友・加計学園の問題でも、誰の責任と権限で判断したのか、わからない。首相は「私が責任をもって」などと言いますが、責任をとったことがない。政治家は誰一人責任をとっていません。
多少でも見通しを示せないことにも、大きな問題がある。本来ならば、緊急事態宣言が解除されたら「こういう状況になると思う」「こういう状況にしたい」など、一つでも二つでも明るい見通しを出すべきです。「我慢しろ、我慢しろ」とばかり言って、国民に自粛をお願いするだけでは安心できない。疲弊してしまうだけです。
日本経済についてはっきり言っておきたいのは、いまのような無策では問題が一段落しても、「V字回復はない」ということ。感染が終息し、「さあ働け」と言っても、生き物である経済は機械のようにすぐに動きません。人手不足もある。コロナが終わったと思っても、また暴れだす可能性もある。少なくとも一年くらいは、慎重に見ていくべきです。
重要になってくるのは、中小企業です。これからの社会では、自分たちで新しい仕事をつくるしかない。得意分野で少人数が集まり、ヨコにもつながり、AI(人工知能)なども活用して事業をおこす。長期的には世界的にも連携する、中小企業の時代が来ると思う。AI(人工知能)も使いながら事業をおこす。大企業の時代から中小企業の時代へ。経済構造の大きな変革が起きるのではないでしょうか。