チャン・イーモウ/ 1951年11月、中国・西安生まれ。中国第5世代を代表する監督のひとり。監督デビュー作「紅いコーリャン」(87年)で第38回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞。2008年の夏季に続き、22年の北京冬季五輪で開・閉会式演出の総監督を担当
チャン・イーモウ/ 1951年11月、中国・西安生まれ。中国第5世代を代表する監督のひとり。監督デビュー作「紅いコーリャン」(87年)で第38回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞。2008年の夏季に続き、22年の北京冬季五輪で開・閉会式演出の総監督を担当
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 中国の巨匠チャン・イーモウ監督が初めて挑んだスパイサスペンス映画「崖上(がいじょう)のスパイ」が2月10日から公開される。中国では監督の映画史上、最大のヒットとなった本作。スパイ映画の魅力についてメールでインタビューした。

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「初恋のきた道」「あの子を探して」といったヒューマニズムあふれる作品から「HERO」や「LOVERS」など色彩豊かな武侠アクションまで、様々な映画をヒットさせてきたチャン・イーモウ監督。最新作は、初めて挑んだサスペンスだ。

「生きていると、映画にできるような物語に多すぎるほど出会います。でも、中国にはこんな古い言葉があります。『千軍易得、一将難求』(千軍は得やすく、一将は求めがたし)。この『一将』とは、つまり脚本のことです。(映画製作の)一番のカギとなるのは、いい脚本が手に入るかどうかです。私は職業監督タイプなので、毎回自分で脚本から書くとは限りません。それより、出会いを偶然に任せたい。これまで、長期的に準備や計画をしたことはありません。運命と同じで、運次第です。

 そういうわけで、友人から「崖上のスパイ」の脚本が送られてきた時、よくあるスパイ映画とは違ったので興味を持ちました。罠に落ちた4人のスパイが生き延びようと必死にあがくという物語に目新しさを感じたのです。賭けに出て、局面を打破するという展開は、その人の運命や性格をはっきりと表します。激動の時代に生きた名もなき人々の物語は、いつの時代も魅力的です。他者を救うための自己犠牲は、いつも人を感動させます」

 舞台は1934年冬の満州国ハルビン。ソ連で特殊訓練を受けた男女4人の共産党スパイチームが、極秘作戦「ウートラ計画」を実行するために命懸けで潜入する。ウートラ計画とは、秘密施設から逃れた同胞を国外に脱出させ、日本軍の蛮行を世界に知らしめること。だが、4人を支援する仲間の裏切りによって、ミッションは天敵である特務警察に察知されていた。彼らの執拗な追跡により、ついにリーダーのチャン・シエンチェン(チャン・イー)が特務の手に落ちてしまう……。

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