林:野村さんが「二流」だったら、ほかの監督はどうなるんですか。
野村:僕は目標達成の方法論で、人のやってないことをやったという自負がある。他チームの指導者は、投げ方とか打ち方を一生懸命教える。「気合だーッ! 打てーッ!」(笑)。
林:お嫌いな精神野球というやつですか。
野村:ダイエーでも巨人でも、巨額を投じて選手を整えましたね。そこに人間の使い方とか知恵を加えられたら、ヤクルトなんか絶対かないませんよ。ところが、戦力だけを整えれば勝てると思ってるから、つけいるスキがあるわけです。だから僕は持論として、「野球は二流でも一流に勝てる」ということを言ってるんです。
(中略)
野村:時計に関してはクレージーなんですよ。これはヴェルサーチ。
林:へえー。スーツも素敵ですね。
野村:これはフェレです。
林:おっしゃれー! 靴は?
野村:これもヴェルサーチです。
林:ヴェルサーチお好きなんですね。監督はよくお似合いですけど、桑田のはいやだな(笑)。
野村:あれは趣味が悪い(笑)。
林:監督はお買い物、お好きなんですか?
野村:買い物依存症。奥さんにギューッと締められて、それに耐えてるのが、いっぺんにガーッと(笑)。典型的な衝動買い。買ってきて、札ついたままタンスに入れて、そのまま。買ってるときが楽しいんです。
(中略)
林:このあいだ、お二人のドキュメントをテレビで見てましたら、お食事してる監督に奥さまが、「人前でクチャクチャかみながら食べないのよ」とおっしゃったので、びっくりしちゃったんです。私だって夫に対して人前であんなこと言ったことないですから(笑)。
野村:すべてあの調子です。ヤクルトのオーナーの前だってズバズバものを言う人ですから(笑)。
林:エッ、オーナーの?
野村:優勝して、あの人とオーナーが写真撮るときに、ジョークで「不倫に間違えられるかね」とか言ったら、(たたくしぐさをして)「何バカなこと言ってるの」(笑)。コワい人が世の中にいないんですから(笑)。
※週刊朝日 2020年5月22日号