日本は経済圏がつながっているので、緊急事態宣言が解除され社会活動が始まれば多くの人が行き来するようになる。だが油断すれば感染のリスクが高まると倉持医師言う。

 第2波による感染者の規模について倉持医師は、欧米で流行しているウイルスが日本で流行した場合、その毒性と日本国内の感染症対策から見て「第1波とは桁が違う」と指摘する。

「日本では2月から4月までの3カ月間で1万5千人近い感染者が出ましたが、宣言が解除され気が緩めばさらに10倍近い15万人ほどの感染者が出る可能性がある。そうなれば、日本の医療は完全に崩壊するでしょう」(倉持医師)

 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は、第2波による被害規模ははっきりわからないとしながらもこう述べる。

「参考になるのが、第1波の時の抗体保有率。スウェーデンが25%でニューヨークが12%近くと高い水準になっています。それに対し、カリフォルニアは4%、東京は6%、武漢は3%程度でした。つまり、アメリカ東海岸からヨーロッパの側がアメリカ西海岸からアジアと比べ3倍近く高くなっています。この大西洋周辺地域で高くなっているウイルスが強毒でそれが日本で広がった場合は、第1波の3倍程度の規模になると思います」

 本格的な第2波の襲来にどう対応すればいいか。

 先の倉持医師は、まずは医療崩壊を防ぐため軽症の患者を隔離し厳重な経過観察ができる施設を国が責任を持ってつくることが重要だとして、こう述べる。

「私たちは活動を自粛して外出を控え、人との接触を減らすことが大切です」

 ただ、活動の自粛が長引けば、経済や社会活動への影響は深刻になる。減収、内定取り消し、派遣切り。企業の倒産は100社を超え、人々の不安と負担はピークに達している。(編集部・野村昌二)

AERA 2020年5月25日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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