「3~4カ月に一度居酒屋などに集まり、飲んで食べるだけですが、気楽でフランクなつながりこそが大事なのです」(同)

 定年前後に起業や自営業をスタートさせた人、転職をした人から体験談が聞けるので、“自分もやってみよう”と前向きになれるという。

「職場で私は最年長で、20歳代の同僚からも『のぶさん』と呼ばれています。仕事も楽しく日々充実しています」

 そう声を弾ませて語るのは、関東近郊に住む高橋伸典さん(62)。定年男子の会のメンバーだ。高橋さんは58歳のときに、外資系の大手製薬メーカーを早期退職し、保育園を経営する今の会社に再就職した。保育士を採用する人事担当者として、毎日出勤している。

 前職ではMR(医薬情報担当者)が長かったが、海外勤務の後、人事部門に異動となった。そこで主に採用と社員向け研修を担当した。研修後、社員の喜ぶ顔が忘れられず、営業より人事で採用や社員研修ができる会社を探したという。

 じつは高橋さん、定年後はいろいろな人が集うカフェを開業したいという夢があり、将来役立つと思い、1年前から会社の許可を得て、出勤前の早朝に近所のパン屋で修業をしている。

「パン作りの経験もないので、最初は40歳近く年下の職人さんに怒られる毎日で必死に耐えていました(笑)。1年経ちようやく必要な人材として認めてもらえるようになりましたが、最初は全くの新入社員なので、エラそうにしていると誰ともうまくいきません」(高橋さん)

 再就職先でも思わぬ試練が待ち受けていた。

 前職とは会社の規模、仕事のルールなどが全く違った。採用を任されたこともあり、今までの仕事のやり方を変えないでマイペースに仕事を進めてしまったのだ。女性が多い職場で、思うようにいかず挫折も経験する。「強引だった」と深く反省した。

 そうこうするうちに、前職で培った経験・知識を生かし次第に力を発揮するようになってきた。「分野が違っても、自分の強みを生かせば道は開かれてくるものですね」と高橋さん。

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