乳幼児健診のやり方は、日本でもきっと見直しが起きるだろう(写真/gettyimages)
乳幼児健診のやり方は、日本でもきっと見直しが起きるだろう(写真/gettyimages)

 新型コロナの影響で、スケジュール帳が真っ白になりました。毎朝、起きてから「今日は何をしようか」と考える日々。出かける予定もなく、人と会うこともなく、よくいえば気ままな毎日を過ごしていたのですが──。ある日、珍しくスマホにメッセージが届きました。「4月21日の朝8時から、健診の予約が入っています」。なんてこった! それは、上の子の4歳児健診の知らせでした。アメリカのお医者さんでは健診を済ませた際に次回の健診日を決めることが多く、4歳児健診の予約をしたのは1年前の3歳児健診のときでした。1年前はこんなパンデミックが起こることなどもちろん予想だにしておらず、予約したことすら忘れていたのです。

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 どうしよう──。2人の子どもたちの顔を見ながら、しばらく悩みました。4月21日は、わたしの住むアラバマ州ではまだ自宅待機令が出ている期間でした。散歩や買い物はいいけれど外出は必要最小限にしましょうという状況で、小児科に行くのも恐ろしく感じたのです。しかし予防接種は必要だし、小児科は「しっかり対策している」というので、弱気に活を、バッグにマスクを入れて行ってみることにしたのです。

 結論からいうと、先延ばしせず受診してよかったです。後日、5月14日に下の子の15カ月健診もあったのですが、それも躊躇なく受けに行きました。それというのも、小児科の言葉通り、しっかりコロナ対策がされていたからです。対策とは、具体的に「オンライン化」「付き添い人数制限」「待合室での接触回避」の3つでした。

 まず「オンライン化」ですが、オンラインで問診票(電子カルテ)記入をすることが必須になりました。オンラインでのチェックイン(予定通り受診します、と確定すること)はコロナ前から行われていたのですが、問診は今回が初めて。院内での滞在時間や会話を少しでも減らすことが目的でしょう。「お子さんは最近大きな病気をしましたか」「服用している薬はありますか」といった質問にスマホで回答していきます。わたしは気が弱いせいか、お医者さんや看護師さんに間近で「お子さんのことで心配事はありますか」と聞かれると「いやいや特にありません、健康そのものです」なんて即答してしまうんですが、時間と空間があるオンライン上だと「そういえば数カ月前のあのとき……」なんて、頭の片隅にひっかかっていた心配事をひっぱりだすことができました。オンライン問診、コロナ後も続けてほしいと思いました。

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大井美紗子

大井美紗子

大井美紗子(おおい・みさこ)/ライター・翻訳業。1986年長野県生まれ。大阪大学文学部英米文学・英語学専攻卒業後、書籍編集者を経てフリーに。アメリカで約5年暮らし、最近、日本に帰国。娘、息子、夫と東京在住。ツイッター:@misakohi

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