


新型コロナウイルスの感染拡大でスポーツ大会が軒並み中止・延期となる中、無観客ながらレースを続ける競馬が人気を集めている。5月31日には祭典・日本ダービーが行われる。スポーツ観戦に飢えている人は、これを機に「出走」してみては。
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「2月29日~5月17日の売り上げは、前年比91.4%。4月の1カ月間ですと、同96.6%です」
日本中央競馬会(JRA)広報部の担当者は言う。JRAは2月末から無観客で競走を実施し、繁華街にある場外馬券売り場も入場禁止。大幅に売り上げが落ちているかと思いきや、ほぼ維持している。
というのも、会員登録してインターネット投票(※)で馬券を購入する人が激増しているからだ。2月27日~5月17日の新規登録者数は29万8152人にも上る。他にスポーツがないため、初めてやってみたという人も多いことだろう。
31日には競馬の格付けで最上位のGIレース、日本ダービー(東京競馬場・芝2400メートル)が控える。本場・英国で1780年に始まった3歳馬ナンバーワンを決めるレースを踏襲する形で、1932年に始まった。朝日新聞スポーツ部の有吉正徳記者が説明する。
「馬の生産者の大半は、4年後のことを考えて、この牝馬(ひんば)にはどの父を種付けするか決めます。4年後のダービーで勝つ馬を作りたい、と。日本で1年に生まれるサラブレッドは約7千頭。ダービー馬はその頂点に立つのです」
後述のように、今年のダービーを見ることで、歴史の証人になれるかもしれない。競馬を始めるには、またとない機会なのだ。
最有力馬は4月19日の皐月賞(中山・芝2000メートル)を制したコントレイルで、これまで4戦4勝。もし無敗のままダービーを制すれば、父・ディープインパクト以来15年ぶりだ。父子2代での無敗のダービー馬はシンボリルドルフとトウカイテイオー以来、史上2組目となる。
「コントレイルは、ディープ産駒(さんく)の最高傑作の可能性があります。昨年の東スポ杯(東京・芝1800メートル)のタイムがあまりに速すぎ、スピード系のマイラー(1600メートル前後の距離を得意とする馬)かと思われました。でも、皐月賞で勝ち、距離も大丈夫だと示しました。矢作芳人調教師によれば、去年までは前脚が強い走りでしたが、今では後ろ脚も強くなり、前輪駆動から四輪駆動になったそうです」(有吉記者)