気象庁は10日、エルニーニョ監視速報を発表。秋にかけてエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続く可能性が高い見込みです。
5月の実況
気象庁は10日、エルニーニョ監視速報を発表しました。
5月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は-0.3℃で基準値に近い値でした。一方、太平洋赤道域の海面水温は、西部で平年より高く、東部で平年より低くなりました。海洋表層の水温は中部から東部で平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発でしたが、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年より強くなりました。
このような海洋と大気の状態は、一部にラニーニャ現象時の特徴が見られるものの、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態となっていることを示しています。
今後の見通し
太平洋赤道域の中部から東部にかけて見られる海洋表層の冷水は東進して、東部の海面水温の平年より低い状態を一時的に強めると考えられます。エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が夏に一時的に基準値より低い値になった後、秋は次第に基準値に近づくと予測しています。以上のことから、今後秋にかけてエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続く可能性が高いです。
西太平洋熱帯域及びインド洋熱帯域の状況
西太平洋熱帯域: 5月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値に近い値でした。今後秋にかけて基準値に近い値か基準値より高い値で推移すると予測されます。
インド洋熱帯域: 5月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値でした。今後夏にかけては基準値より高い値か基準値に近い値で、秋は基準値に近い値か基準値より低い値で推移すると予測されます。