野田政権が3月中の閣議決定を目指す消費増税法案をめぐり、民主党では連日深夜まで議論が行われている。しかし一方で、党内ではすでに"ポスト野田"を視野に入れた動きも見え隠れする。その中でも勢いづいているのが、小沢氏だ。

 小沢氏は22日、自らのグループ「新しい政策研究会」の会合で、前日の読売新聞朝刊に掲載された自身のインタビュー記事を配り、こう怪気炎を上げた。

「『綸言(りんげん)汗の如(ごと)し(君主は一度口にした言葉を翻すことはできない、の意)』という古い言葉がありますが、もう知る人もなし、みたいな時代になっている。大きな理由もなく、ただ都合が悪いから以前の決定は無視する、と。こんな無責任なやり方をしているから結局、民主党から人心が離れ、その反作用として橋下某(なにがし)(橋下徹大阪市長)に期待が集まるということになっちゃっている」

 記事は、懸案となっている増税法案の付則が修正されても反対する姿勢を表明したものだ。野田政権に対する"宣戦布告"である。

 この大号令で、小沢グループを中心とする増税反対派は一気に勢いづいた。

「実はこれまで、親方(小沢氏)から直接、『反対しろ』とか具体的な指示はなかった。だが、親方が反対と言った以上、ガチンコで執行部と戦いますよ」(小沢グループ所属議員)

 加えて、"反小沢"の急先鋒(きゅうせんぽう)だった新聞などの大手メディアも、ここにきてその論調を変え始めた。

「各紙とも無罪判決に備えて、路線を調整してきているんですよ。ここで重要なのは、新聞社は当局の動きやニュアンスに敏感だということ。つまり、彼らは無罪の可能性が高いとみている。これは、笠間治雄検事総長が退任する6月の検察人事も踏まえた動きでもあります」(司法関係者)

 晴れて足かせがはずれた小沢氏は、どう動くのか。

「小沢さんが野田執行部に対して勝負に出るのは、衆院で法案が採決される6月以降。今回はあえて押し切らせ、この先、造反の"大義"にする腹づもりです」

 と語るのは、民主党国対幹部だ。

 小沢氏の判決は4月26日。この国の政治は、前に進むことができるのか。

※週刊朝日 2012年4月6日号