「東京家族ラボ」主宰の池内ひろ美さんは、夫婦や家族の問題に詳しい評論家。コンサルタントとして、問題解決への相談にものっている。今回、49歳の男性から明かされた悩みは不倫女性に関するものだった。
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「どうしても彼女が別れてくれません。別れるなら妻と子どもに不倫関係をばらしてやると脅されました」
49歳の外資系金融マンは青ざめ、力なく肩を落とす。 なぜこんなことになったのか? 彼女と彼が偶然、野球観戦で出会ったときは笑顔の美しさに惹かれたという。
ケンカもほとんどなかった。メジャーリーガーのダルビッシュ有が素敵という彼女と松井秀喜を推す彼の間には、それ以外の違いを見つけられないほど話が合い、笑顔の日々が続いた。 はじめ素直に見えた彼女は、次第に、なにかと比較しはじめる。彼の妻は夫である彼とミラノ旅行したことがあるのに私はまだ行っていない。奥様には腕時計を買ったのに私にはまだ。奥様が持っているケリーバッグを私は持っていない。すべて違うと責め立てられて困った彼は、彼女のリクエスト通りにすべて行った。
それでも彼女は満足しない。ついに、彼が離婚して彼女と再婚してようやく妻と同等だと言いはじめる。
「僕に離婚しろと迫ります。あんなに物分かりの悪い女性だとは思わなくて」「お子様のことはなにかおっしゃっていますか」「子どもが憎いと。僕が子どもを捨てないなら彼女も子どもを産んではじめて同等だから妊娠させろと迫られ、困りました」
それはまずい。しかし、40歳近い独身女性と2年以上もつきあえば、彼女が妊娠を望むのも当然のことだ。男性と違って女性の出産年齢にはかぎりがあるため、子どもを産みたいと思う彼女にとっては最後のチャンスとばかりに迫ってくるのも当然。
不倫している相手との結婚を望むのも独身女性の常である。ましてや彼は外資系金融マンであり高収入だ。
「年収は下がってます。一時期は8千万越えでしたが、今は2500万円ほど」
外資系企業が日本人に支払う年俸は下がっている。全盛期には欧米人と同等か近い金額を提示していた投資会社も、リーマンショック以前から、日本人は欧米人の半分以下にしても仕事の質を落とさないからと理不尽な年俸の下げられ方をしてきた。が、そんなことを言い訳にしたところで彼女が引き下がるわけもない。
長く続けた不倫の別れ話は火に油を注ぐ結果となりかねないため、直接話すのはやめて弁護士に依頼し慰謝料を払って別れるしかない。不倫をはじめるのは簡単だが、終えるのは難しい。
※週刊朝日 2012年3月30日号