東京都では6月1日、休業要請の解除行程を3段階で示すロードマップの「ステップ2」に移行。出勤する人も増えてきた(撮影/写真部・加藤夏子)
東京都では6月1日、休業要請の解除行程を3段階で示すロードマップの「ステップ2」に移行。出勤する人も増えてきた(撮影/写真部・加藤夏子)
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AERA 2020年6月22日号より
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AERA 2020年6月22日号より
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 テレワークの増加は、オフィスの意義や給与評価などにも影響を及ぼしつつある。IT大手の楽天も例外ではない。コロナ時代の働き方をどう捉えているのか。AERA 2020年6月22日号の記事を紹介する。

【図を見る】テレワークの実施率は2.1倍に増加

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 コロナショックにより、オフィスのあり方や人事制度も見直しを迫られている。

 6月の月曜、業務開始直後、楽天では、全社員が参加する「朝会」がオンラインで実施されていた。創業から続く恒例会議で、成功事例などをグループ企業に横展開することを目的にしている。

「子どもがオンライン会議に入ってくるのは自然なこと。楽しんでいきましょう」
「読み聞かせコンテンツの配信を始めます」

 朝会では、子どもがいる社員に向け、そんな呼びかけもされていた。

 同社では、2月中旬から原則対面での会議を禁止してオンライン化。3月末に在宅勤務が「推奨」から「原則」へと移行すると、オンライン会議の回数はさらに増え、Zoom(ズーム)を使用した5月のオンライン会議の総時間は20年1月と比べて6.9倍に。社内では、元々リモート会議の経験が多い人とそうでない人との間に、経験値の差があった。イントラネットなどを通じてノウハウを共有した今では、ほとんど差がなくなっている。

 この朝会では、三木谷浩史社長が毎回、15分程度、企業の向かうべき方向性などについて確認している。グループ人事部ジェネラルマネージャーの黒田真二さん(43)によると「かなり早期から、新型コロナに向けて最大限の対応をするように(三木谷社長から)指示があった」といい、マスクの配布や社内の消毒の徹底をいち早く進めることができたという。

 オフィスのあり方についても検討が進められている。15年に東京都心の品川シーサイドから本社を移転した。住宅も多い、東京都世田谷区の二子玉川に新本社「楽天クリムゾンハウス」を構えた。文字通り「ハウス」をコンセプトに、社員が家にいるような感覚で過ごせるよう、クリーニング店から鍼灸マッサージ、スポーツジムまで整っている。ところが、このコロナ禍で状況が変化した。

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