「ソーシャルディスタンスが求められる中、同じ空間に一緒にいる、というコンセプト自体が難しくなっている。働く場所や時間帯がフレキシブルになるよう、方向転換を模索しています」(黒田さん)
まだ検討段階ではあるものの、今後はテレワークが増加していくことを見据え、評価制度自体も見直すべきではないかという議論も始まっているという。
同社では、仕事の能力に応じた「基本給」と、成果に応じた賞与とを組み合わせた形で給与を決定している。ただ、この「能力に基づいた評価」は、オフィスで実際に働いている姿を見る方が判断しやすいという側面がある。
テレワークの環境では、業務の種類に応じた「職務給」ベース、いわゆる「ジョブ型」の給与体系に切り替えるべきではないか、との議論も社内にはあるという。
「ただ、『オフィスで遅くまで頑張っている』からといって、職能が高いわけではなく、『頑張っているようだ』という印象論でしかない。制度の見直し以前にテレワークによって、よりピュアに成果が評価されるようになるのではないかと個人的には思います」(同)
(ライター・市岡ひかり)
※AERA 2020年6月22日号より抜粋