僕の実体験なんですが、出張先でホテルに泊まったときに、ドアを開けた瞬間「あ、ちょっとやばいな」と思ったことがありました。そのとき、その場で笑いながら全裸になった。優しそうで落ち込みやすくて気弱な人だと、同じ匂いを感じて出てくるかもしれないけど、笑いながら全裸になる人って、たぶん幽霊もかかわりたくないんですよ。「この人は別次元だ」「ちょっときつい」と思われるような愉快な人になる方法はお勧めです。柏手を打つのも有効ですし、もし心配なら塩を飾っておくとか。お寺とか境内の清められた場所に行ってお線香の香りを持ち帰ってくるのもいいですね。自分で家でお線香を焚いてもあんまり意味がありません。清められた場所の香りをいただいて帰ることが魔よけになります。

 本当に幽霊がいる部屋に住んでいる人にも過去に会ったことがありますが、そういう人って、ちょっとぽーっとしてくるんですね。いろんな支払いが滞ったり、郵便物がポストにたまったり。遅刻をしてはいけないとか、携帯電話料金を払わなきゃいけないとか、そういう人間社会のルールがどうでもよくなってくる。

 精神的な病気の場合もあるので全部がそうではないんですが、一線を越えて大事なものと大事じゃないものがごちゃごちゃになって、しかもそれを「ちゃんとやらなきゃ」という気持ちもなくなっちゃう。人間社会の約束を守らなきゃという概念が抜けてきちゃっているときは、あまりよくない家かもしれないので要注意です。

AERA 2020年6月22日号

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しいたけ.

しいたけ.

しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「しいたけ. 公式サイト」では月刊占いやコラムを連載中。 https://shiitakeofficial.com/

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