新型コロナウイルス感染拡大対策やBLM運動への対応を巡り、トランプ氏の支持率が低下している。元側近の暴露本の出版が、その動きに拍車をかける。AERA 2020年6月29日号の記事を紹介する。
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トランプ大統領(74)は米国の利益よりも、自らが再選すること、そしてトランプ家の繁栄を優先していた──。
トランプ氏に仕えたジョン・ボルトン前米大統領補佐官(71)は回顧録『The Room Where It Happened(それが起きた部屋)』の中でこう指摘し、トランプ氏を国家首脳として認めないと主張しているという。6月23日に出版予定の577ページに及ぶこの書籍が、今、大きな注目を集めている。
ボルトン氏は共和党における外交のプロ。ブッシュ元大統領政権では国連大使だった。2018年に国家安全保障補佐官に登用され、タカ派として存在感を示す。だが、北朝鮮への対応やイラン問題、タリバーンとの和平協議などをめぐって次第にトランプ氏と対立。昨年9月10日に更迭となった。
書籍の発売は今月12日に発表、トランプ政権内からの暴露本ということで大きな注目を集め、17日には本を入手したウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)がこう報じた。
「最初から最後まで、トランプ氏を一貫性がなく子どもっぽい、愚かな人物と描く」「ボルトン氏は、トランプ氏が支配するホワイトハウスでは“司法妨害は日常”だったと指摘し、トランプ氏には“好みの独裁者に個人的に便宜を図る”傾向があると非難した」
ニューヨーク・タイムズは、トランプ氏が自身の再選問題を外交にまで持ち込んでいたと報じている。中国の習近平国家主席(67)との会談では再選に協力するよう懇願、農業州の支持を得るために米農産物を購入するように求めていたという。
トランプ氏には、「大統領としての資質」が問われる問題が続いている。新型コロナ対策においては、楽観的発言を繰り返していた。6月17日の会見ではマスクもせずに登場し、「ワクチンなどなくても、危機はなくなる」と発言した。専門家の意見を聞くこともせず、間違った情報をツイッターや記者会見で繰り返し発信している。