

名匠ペドロ・アルモドバル監督の自伝的作品「ペイン・アンド・グローリー」。アルモドバル監督は、「オール・アバウト・マイ・マザー」でアカデミー賞外国語映画賞を受賞して以来、ヒューマンドラマの名手として高評価をされてきた。今作品については、アカデミー賞ではバンデラスの主演男優賞や国際映画賞でノミネートされた。
■ 過去の悲しみも輝きもすべて抱きしめて
スペインを代表する映画監督のサルバドール(アントニオ・バンデラス)は、脊髄の痛みから生きがいを見いだせず、心身ともに疲れ、引退同然の生活を送っていた。そして昔の自分をよく回想するようになる。子供時代、母ハシンタ(ペネロペ・クルス)との暮らし、移り住んだバレンシアの村での出来事、マドリッドでの恋と破局。その痛みは今も消えることはなかった。
そんなある日、32年前に撮った作品の上映依頼がくる。その主演俳優アルベルト(アシエル・エチェアンディア)とは因縁の間柄だったが、サルバドールは快諾し、アルベルトの自宅を訪ねる。そしてそこにあったヘロインに手を出す。それは彼の痛みを忘れさせてくれるのだったが……。
本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)
■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★ 超オススメ、ぜひ観て
カラフルな色使い、繊細な心遣いを駆使して描写されるアルモドバルの自伝的世界は映画の作り手の心の痛みと愛をさらけだす。演じるバンデラスも見ものだが、アルモドバル映画に不可欠な母親役を演じるペネロペも素敵。