しかし、いま述べてきたとおり、見えない傷を子どもは負っているのかもしれません。また、いじめのかたちは刻々と変わり、大人の眼からは、どんどんと見えづらいものになっていきます。SNSや携帯が悪いわけではありません。あまりにも、子どもが置かれている環境がストレスフルになっているからです。

 しかし変わらないこともあります。それは周囲に理解者が一人でもいれば、本人の気持ちはちがうということです。理解者が親や教員ならばなおのこと心強いでしょう。

 子どものいじめはすぐの解決が難しいです。グループ全体、教室全体を巻き込んだ負の連鎖が影響していることも少なくありません。拙速な解決を求めて子どもをいじめの渦中に置くよりも、しばらくは学校を休ませるなど、子どもの安全と休息を第一に考える必要があります。ぜひ、いじめだと気がついたときは、子どもの気持ちに寄り添ってもらいたいと思います。(文/石井志昂)

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石井志昂

石井志昂

石井志昂(いしい・しこう)/1982年、東京都町田市出身。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた

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