2月13日、橋下徹大阪市長の「大阪維新の会」が次期衆院選に向けた政策集の原案を発表した。橋下氏は衆議院選には300人以上を出馬させ、約200議席を獲得すると意気込んでいる。そのための政策集を坂本龍馬の国家構想にちなんで「維新八策」と呼ぶ橋下氏に、ジャーナリストの田原総一朗氏も期待している。
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私は、橋下市長の「大阪都構想」はリアリティーがあると感じており、実現してほしいと期待している。
そこで、この国を「こう変える」という「維新八策」だが、大阪都構想と重なる「公務員制度改革」や「教育改革」にはもちろん異議はない。
だが、「憲法改正」となると、戦力の不保持をうたう9条をなくし、自衛隊を軍隊とするべきだとする勢力が同調し、日本の安全保障のあり方が大きく変わることになるだろう。
橋下市長は、9条をなくし、自衛隊を軍隊にすることをどう考えているのか。「維新の会」が組む可能性がある石原慎太郎東京都知事は、9条をなくし、核武装すべきだと主張している。いま日本は重大な転換期にあり、この問題はぜひ詰めてほしい。
実は、私は日本が抱える最も深刻な問題は、少子化=人口減少だと強く感じている。少子化によって2005年から人口が減少し始め、出生率1.26程度の少子化が続くと、100年後には日本の人口が5千万人を切ってしまう。年金をはじめとする現在の社会保障制度が、すべて吹き飛んでしまうのだ。「維新八策」ではこの重大問題に全く触れていないが、本気で取り組んでもらいたい。
※週刊朝日 2012年3月2日号