タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。
【写真】新型コロナウイルスの影響で、都知事選の投票所の記載台も間隔を確保していた
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政治について考えたり語ったりするのは痛いことなのか。そうは思わない若い人も増えているし、芸能人なども発言するようになっています。それでも投票には十分結びつかず、まだ「当たり前」にはなっていないようです。
今回の都知事選でも、ネットで若者に投票を!と呼びかけていた知人が、前回を下回る55%という投票率に失望して、落ち込んでいました。いっそオーストラリアのように有権者登録をして投票しなかったら罰金、という制度を導入するのもアリかもしれません。
社会を変えるのは政治だけではないので、寄付やボランティアなどで社会活動に参加するのもいいし、地域で活動するのもいい。給付金の使い道では、若い世代ほど寄付を検討している人が多いそうです。これは希望が持てますよね。寄付などを通じて自分の生きる環境は自分でカスタマイズするという意識が持てると、自然と政治にも関心が向きます。
普段の会話で家族とニュースについて話すことはありますか。投票所に子連れで行ったことは。AERA読者は「ある」という人の割合が高そうですね。日常会話の中で世の中への興味関心を語る習慣があれば、子どもも「人はコミュニティーに参加して意見表明をするものなのだ」という意識を持ちやすいのではないかと思います。
テレビを見ながらつい「政治家なんて誰がやっても同じ」「期待する方が間違っている」「どうせ行っても変わらないしね」などとぼやくこともあるでしょう。それが若者たちの態度のモデルになっているのかも。投票率を上げるにはまず、大人が日頃から政治に期待する姿勢を示すことから。冷笑的なコメントよりも建設的な意思表示を。ときには、真剣に怒ることも大事です。これは家族の問題を解決する時でも、おんなじですね。
※AERA 2020年7月20日号