かつては“不治の病”のイメージで、映画やドラマで描かれることも多かった白血病だが、近年は“治る病気”になった。大きく分けると急性と慢性に分類され、診断されたら一刻も早い治療が必要になるのが急性白血病だ。週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療2020』では、急性白血病の診断や治療法について、専門医に取材した。
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2019年2月、日本女子競泳界のエース、池江璃花子さんが、発症を公表し、改めて注目を集めた血液がんの一種が白血病だ。白血病と言えば、長年、不治の病と思われてきたが、近年、数々の薬物療法の登場などにより、根治が見込める病気となった。
白血病は、大きく分けると病状の進行の速さなどによって急性と慢性、そのそれぞれに骨髄性とリンパ性があり、四つのタイプに分類される。
急性白血病は、急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病がある。
白血病全体の約7割を占める急性骨髄性白血病は、血液を作る造血幹細胞のなかの骨髄系幹細胞が、血液を作る過程で未熟な細胞である骨髄芽球に遺伝子異常が起こってがん化し、それが増殖して起こる。一方の急性リンパ性白血病は、リンパ系幹細胞である白血球の一種のリンパ球が、やはり未熟な段階でがん化して起こる。こちらは、白血病全体の約2割だ。
急性白血病は、白血病細胞が20~30%以上あると、白血病と診断される。診断されたら一刻も早い治療が必要だ。都立駒込病院副院長の大橋一輝医師はこう説明する。
「急性白血病の発症が判明するパターンは二つあります。一つはだるさや風邪のような症状が長引き、医療機関を受診してわかるケース。もう一つは何の症状もなく、たまたま健康診断や人間ドックの血液検査で、赤血球、白血球などの数値の異常で見つかる場合です。前者ももちろんですが、後者では患者さんは大きなショックを受けます」
本人は元気なのに、病気を告げられたとたんに、即入院し、検査と治療を受けるように医師から言われる。何がなんだかわからないまま事態が進み、仕事や家庭のこと、命のことなどあれこれ考えて、パニックに陥る人も多い。