アイドルグループ、Snow Manの向井康二さんがAERA表紙に登場。まっすぐなグループへの愛と目標を熱く語った。AERA 2020年7月27日号から。
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「人生の目的? Snow Manっていうグループをもっと有名にすること!」
カメラを趣味とする向井個人に対して尋ねた写真家の質問に、即座にそう答えた。いつのまにか「自分」ではなく「みんな」の話になっている。それこそが彼の魅力の原点だ。
今年1月、アイドルグループSnow Manの9人のひとりとしてデビューした。24.6歳という平均年齢が話題となった、「下積み」の長かったグループ。向井康二にとっても、25歳でデビューするまでの13年余りは、決して短くはないはずだ。
にもかかわらず、いや、だからこそなのか、「自分」を主張しない。本誌の取材でも、自身が表紙を飾ることを喜ぶよりも、それが「Snow Manを知るきっかけになってくれたらうれしい」と語った。
にぎやかな関西弁で盛り上げるから、目立ちたがりに映るかもしれないが、その実、仲間のさりげない発言をすくいあげ、会話の間をつないでいる。テレビ番組「アイ・アム・冒険少年」でともにレギュラーを務めるメンバーの目黒蓮に尋ねると、収録中も「僕が言ったことに笑ってくれたり、いつも助けられてますね」と証言した。向井の口からは頻繁にメンバーの名前が飛び出し、グループへの愛がストレートに伝わってくる。
家族に関しても同じだ。「お父さんは『男はつらいよ』の寅さんみたい」「お母さんが悲しむから人が死ぬようなゲームはしない」「お兄ちゃんはめちゃくちゃかっこいい」。20代男性が照れて口にできそうもない言葉とともに、自然と会話に登場する。
そんな向井の魅力の原点は、ラジオ番組「Snow Manの素のまんま」で、メンバーの宮舘涼太が口にした一言に尽きるように思う。「いいお母さんに育てられましたよね」
人を楽しませる少年のようなトーク、メンバーに「甘えん坊」で「さみしがり」と評される性格。一方、ライブで聴かせる甘い声と、ふとした瞬間に見せる色気漂う表情。そのギャップでファンを増やしているが、何より向井の真摯さは、老若男女をも惹きつける。これから間違いなく、「お茶の間」に愛される顔になるだろう。
(朝日新聞出版 伏見美雪)
※AERA 2020年7月27日号より抜粋