昨年、2機の小型人工衛星が打ち上がり、宇宙空間を周回している。今は、2年後に打ち上げ予定の3号機を開発中だ。
人工流れ星が燃えるのは、高度60~80キロメートルほどの「中間圏」と呼ばれる大気の層。その領域のデータを集めることで、気候変動のメカニズムの研究に役立てることを構想している。
イーロン・マスク(49)が火星移住を計画し、堀江貴文(47)がロケットを飛ばす時代。世界には宇宙事業を進める企業が1千社ほどあると言われているが、彼女が扉を開いた「宇宙エンターテインメント」という領域は、手付かずの新天地である。
話は岡島が天文学を専攻していた東京大学の学部時代に遡る。01年、彼女は大学の友人たちと、しし座流星群を見に千葉県の山へ出掛けた。そこで、こんな会話を交わす。
「流れ星って塵だよね? 宇宙で塵を放てば、シャワーのような流れ星を作れるんじゃない?」
折しも2000年代は、小型の人工衛星が登場してきた時期。それまでは、衛星1機作るのにも打ち上げるのにもそれぞれ何百億円とかかり、国を挙げての一大プロジェクトというイメージが強かった。小型化で、1機の開発から打ち上げまで含めて数十億円という桁までコストが下がった。
「お金を集めて塵を放つ装置を小型の衛星に載せれば、実現できるかも。絶対私がやると決めた! 他の人に先を越されたら、悔しくて夜も眠れなくなる」
人工衛星の共同開発に取り組み、ALEの技術顧問も務める東北大学大学院工学研究科准教授の桒原聡文(38)は言う。
「同じようなアイデアを考えた人はいると思う。でも、まさかそれを本当にやろうとして、事業を起こす人が現れようとは思いもしなかったですね」
(文・古川雅子)
※記事の続きは「AERA 2020年8月3日号」でご覧いただけます。