そうそう、簡単にクビを切られてしまう非正規社員を国策として増やしたのは、自民党と懇意で当時大臣だった竹中平蔵氏である。現在は大きな派遣会社の会長だ。

 流動的に雇ったり切ったりできる労働力を得て、大企業はもうかったかもしれないが、それで多くの人はなにを得たのか? 将来の不安や、家族を持つことへの諦めや、余裕がない生活から生まれる余裕のない心でないのか?

 そんな中、まだまだおまえらボランティアで働ける、と上から目線でいわれてる。あたしたちの良心まで搾取される。

 ちなみに「Go To キャンペーン」ひとつ取り上げてみても、あたしたちの血税はめちゃくちゃに使われている。その業界の利権を得ている議員がいる。なので、こういうことは迷わず決行されていく。

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

週刊朝日  2020年8月7日号

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