特急というのは「特別急行」の略である。昭和時代、特急より上をゆく列車は「超特急」と形容され、戦前の「燕(つばめ・正しくは旧字)」、東海道新幹線開業時の「ひかり」が燦然と輝き、国鉄の象徴と化した。一方、私鉄では普通(各駅停車)、準急、急行、特急などと種別を定め、さらに上に位置する列車も存在する。特急よりも上に設定された、私鉄の列車を紹介しよう。
■快速特急がポピュラー
特急より上で、最もポピュラーな種別は「快速特急」だ。京浜急行電鉄、京成電鉄、名古屋鉄道、阪急電鉄、京阪電気鉄道などで運行されている。
●京浜急行電鉄
京浜急行電鉄(京急)では、快速特急を略した「快特(かいとく)」として、自社線の泉岳寺~三崎口を日中10分間隔で運転されている。大半は都営浅草線からの直通列車で、一部の列車は基本的に進行方向を向いたオールクロスシート車(転換クロスシート&ボックスシート)の2100形で運転される。特に土休日の2号車は一部列車に限り座席指定「ウィング・シート」に設定され、座席指定券は車内(500円)で購入できるほか、スマートフォンやパソコンで購入できる「KQuick」なら300円で利用できる。
また、快特の上には「エアポート快特」(押上~羽田空港国内線ターミナル)がある。快特停車駅の京急蒲田を通過するほか、都営浅草線内は一部の駅を通過する。
●京成電鉄
京成電鉄の「快速特急」は、主に京成上野~京成成田に設定されている。「特急」は京成佐倉以遠で各駅に停まるのに対し、「快速特急」は全区間で速達運転を行う。
2019年10月26日ダイヤ改正で、「スカイライナー」の大増発に伴い、京成上野~成田空港の「特急」の一部を京成上野~京成成田の「快速特急」に変更した。日中は京成佐倉で「快速」に接続することで、下りは成田空港方面、上りは京成上野方面への利便性を確保している。
●名古屋鉄道
名古屋鉄道(名鉄)の「快速特急」は、主に豊橋~名鉄岐阜に設定されており、「特急」ともどもリクライニングシートの特別車(指定席)と転換クロスシートの自由席に分け、さまざまなニーズに対応している。特に一部の列車は1000系パノラマSuperが充当され、特別車の一部はハイデッカーの展望席が設けられている。