体全体に味蕾があるなまず(出典:WEB魚図鑑)
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くら寿司の極み熟成中トロ
くら寿司の極み熟成真鯛
くら寿司の極み熟成ふぐ(東日本では販売していません)

 これまでこのコラムでは、魚の視覚、嗅覚、聴覚について書いてきましたが、今回は味覚についてです。

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 まず最初に、皆さんは魚は味を感じることができると思いますか?

 答えはイエスです。魚も味を感じることはできます。魚は、一般的に我々人間が感じることができる五つの味のうち、塩味を除く四つの味を感じることができると言われています。

 では、体のどこで味を感じているんでしょうか?

 我々人間は、主に舌にある味蕾(みらい)という器官で味を感じていますが、実は魚も同じように味蕾で味を感じています。

 ただ我々と違うのは、魚の味蕾は舌ではなく体の別の場所にあるということです。

 魚の味蕾があるのは、口の中(といっても舌ではなく、主に口の中全体)のほかに、唇、ひげ、エラなど魚によって様々です。

 釣りをする方は経験があると思いますが、ちょんちょんといった小さなアタリがあるのに、合わせてもまったく魚がかからないということがよくあります。これは魚が唇でその餌は食べられるかどうかを味見している際の反応です。

 中でも、餌取り名人と言われるカワハギは、唇の味蕾が発達しており、唇の先で餌の味を確認しながらおちょぼ口で少しずつ餌をかじり取ってを食べると言われていますので、彼らを針に掛けるのには、それなりの経験とテクニックが必要です。

 また魚ではありませんが、タコは口のまわりの他に吸盤のひとつひとつに約1万個もの味蕾があり、腕を伸ばして触ることで食べられる餌かどうかを確認しています。

 余談になりますが、まず味を確認することで、食べられるかどうかを確認するということについては、我々人間も似たようなことをしているように思います。

 思い出してみてください。赤ちゃんは何でも口に入れてしまいますよね。あれは、とりあえず口に入れてみて、味や感触から食べられるかどうかを確認する作業とも言われています。

 赤ちゃんは、まだ目で食べられるものかどうかを判断することはできません。手などに比べて感覚の発達が早い口でいろんなものを試していると言われています。

 とはいえ、手当たり次第に何でも口に入れてしまうので、その年頃の赤ちゃんを持つ親御さんは気が気ではないと思いますが。

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