一方、同業者からはこんな声もあがっている。
「個人の判断なのでいい悪いは一概に言えませんが、私見としては、大学教員の本分をいささか越えているようにも感じます」
こう話すのは『テレビコメンテーター』(中公新書ラクレ)などの著作がある神戸学院大学の中野雅至教授。
「大学教員の本来の職務は研究と教育。私大の場合、カリキュラム編成などの学内行政が占めるウェートも大きい。その上でテレビ出演の時間を確保できるならいいですが、ほとんどの大学教員にそんな時間はありません。研究や実験で忙しい理系研究者であればなおさらだと思います」(中野教授)
そのほか、「視聴者への影響も無視できない」と中野教授は続ける。
「コメントをしても『半分芸能人』と色眼鏡で見られるようになることは避けられません。いわば研究者としての信用にも関わる話。長い目で見れば、不利なほうが多いのではないでしょうか」(同)
「コロナの女王」の今後に注目したい。(本誌・松岡瑛理)
※週刊朝日 2020年8月14日‐21日合併号に加筆