外出自粛下で重宝されるのがインスタント食品。中でもカップ麺の売れ行きが好調だ。おいしいものを求める消費者と、期待に応えようと努力するメーカーの相互作用で個性豊かな商品が次々と登場。最新トレンドと、この夏オススメの一杯を探った。
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「巣ごもり需要」でカップ麺が人気だ。大手メーカー各社の広報担当者は「今年は例年より出荷量が増加している」「売り上げが伸びた」と口をそろえる。日清食品ホールディングス(HD)や東洋水産の株価は3月以降、2000年以降で最高値の水準で推移しており、好調ぶりがうかがえる。
勢いを反映してか、食料品の陳列棚には個性豊かなカップ麺がずらり。どれを選ぶべきか迷う読者のために、本誌は専門家と大手メーカー7社の広報担当者にこの夏の「いち推し」を聞いた。
まず、暑い夏でも無性に食べたくなるのが激辛麺。人気カップ麺レビューサイト「本日の一杯」を運営する「taka:a(たか)」氏がこう語る。
「現代のストレス社会を反映するかのごとく、昨年から激辛系のカップ麺が勢いを増しています」
taka:a氏オススメの激辛麺は寿がきや食品の「麺処井の庄監修 辛辛魚(からからうお)らーめん」だ。
「09年から販売されている準定番商品。辛さとともに旨味の追求に余念がなく、数ある激辛カップ麺のトップ3に入る名作です。今年発売された12代目は“本物感”をテーマに辛さと濃さが追求されており、豚骨と魚介と激辛の三つの要素バランスが秀逸です」
ペヤングブランドなどを展開するまるか食品も、激辛系カップ麺「獄激辛やきそば」で人気を博している。同社の担当者は
「泣けるほど辛みが強いため、メディアやYouTubeでよく取り上げていただいています」と手応えを口にする。
もう一つのキーワードが「やりすぎ」系だ。30年以上毎日インスタント麺を食べているという即席麺評論家の大山即席斎氏はこう語る。
「昨今は刺激を求めるユーザーに応えた『やりすぎ商品』が花ざかり。カロリーが多すぎることをあえてうたった商品や、ワカメ・ごま・花椒・にんにく・背脂・魚粉などを過剰に入れた商品が巷にあふれています」