──原因は何だったのでしょう。

長島:日本側の準備不足です。良くも悪くも米政府とズブズブだった自民党が下野し、米政府は関係がどうなるか相当身構えていました。そこに、インド洋の自衛隊補給艦を撤退したり、東アジア共同体構想を掲げたり、小沢一郎党幹事長が600人余を率いて訪中したり、岡田克也外相が日米の核密約を公表する姿勢を示したり、と米側にすれば不安要素をずらりと並べられた上で、「基地の交渉をします」と切り出されたものだから、さすがに「乗れません」となった。私は罪滅ぼしの意味も込めて、今は自民党議員の立場で何とか良い方向に解決したいと思っています。だからこそ言いたいのは、米国で新政権誕生が取りざたされる今が大事だということです。この時期に水面下で静かに交渉を進め、米側と信頼関係を築いた上で5年、10年というスパンで着実に取り組む。魔法の杖を探して結局幻想に終わる、というパターンはもう絶対に許されないと思っています。

屋良:米側との交渉は「基地を移せ、返せ」といった施設面のアプローチではなく、機能面で米軍がスムーズに運用を続けられるようウィンウィンの関係を築ける取引材料を探るべきです。在沖海兵隊を国外移転させる一つの切り札になると私が考えてきたのが、高速輸送船の提供です。約10年前にハワイの米海兵隊太平洋軍司令官を取材した際、「あと2、3隻ほしい」と彼は言いました。年間チャーター費は11億円。3隻でも33億円です。これを米側に提供すれば、沖縄の基地削減交渉の取引材料になると思いました。海兵隊のニーズを常に把握し、日本側から代替案を提案する。これを不断に続ける中で沖縄の基地偏在の是正に知恵を出し合うべきです。

長島:その流れで言えば、私がかねて提案しているホスト・リージョン・サポートも有効だと思います。自衛隊と海兵隊が一緒にアジア太平洋地域を巡回することで、海兵隊が沖縄にいる期間を短縮できます。念頭に置かなければならないのは、沖縄の広大な基地を米軍が排他的に使っている現状が健全なのかということです。海兵隊と陸上自衛隊が連携を深め広大な米軍基地を自衛隊と共同使用できれば、新たに基地を造る必要はなくなる。日本が主体的に地域の安全を担う流れの中で、基地管理権を日本側に移し、米軍に使用を許可する関係にもっていかなければいけない。

屋良:沖縄で米軍関係者の新型コロナ感染が急増しても情報が公開されず、県民の間に不安が広がりましたが、これも基地管理権を日本側が持つようになれば、状況は大幅に改善できるはずです。

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