妊娠してからは母子の健康のために医療機関で複数回健診を受ける必要がありますが、基本的には1回あたり5千~8千円が必要で、総額10万円以上かかることになります。この費用が受診券により自治体から助成されます。


 
 さきほどの妊婦健診を公費の補助で受けられる受診券は、検査ごとに合計14枚あり、これがあると医療機関で問診、血圧、血液や尿の検査などからHIV抗体、B・C型肝炎、さらに子宮頸がん検診などを受けることができ、自己負担は0となります(※受診券の枚数は自治体により異なる場合があります。また自治体ごとの助成上限額を超えたり、助成対象以外の検査は自己負担となります)。

 妊娠中の医療に関する助成はほかにもあります。「妊娠高血圧症候群等の医療費」に対する助成金です。

 妊娠高血圧症候群とは何らかの原因で妊婦の血圧が上昇し、尿にタンパクが混ざったりむくみを生じるなどの症状がみられるものです。悪化すると母子ともに重大な健康障害が懸念されるもので、以前は妊娠中毒症と呼ばれていました。この疾患以外にも糖尿病、貧血、産科出血、心疾患なども対象となります。

 助成されるのは、健康保険を使って入院治療した場合の自己負担分。この助成を受けられるのは東京都の場合、入院見込み期間が26日以上の人、もしくは前年の所得税額が3万円以下の世帯の人です(自治体により異なります)。申込先は各自治体の保健所などです。

■出産時の医療費などの大部分が保障される「出産育児一時金」

 出産に関する社会保障でもっとも知られているものは「出産育児一時金」でしょう。会社で加入する健康保険、国民健康保険のいずれかの加入者であれば、出産後に42万円受け取れるものです。双子以上の場合も子ども一人当たり同額が支払われます(産科医療補償制度に加入している医療機関で出産した場合。加入していない医療機関の場合は40万4千円)。

 公益社団法人 国民健康保険中央会の統計によれば、出産時(正常分娩)の分娩費、入院費などをあわせると約50万6千円(2016年度)。この8割以上が保障されるわけです。妊娠4カ月以上であれば死産・流産も対象となります。

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産休中の給与の保障は?