新型コロナウイルスによる肺炎が流行した武漢で、作家の方方氏が発表し続けた日記が世界の注目を集めた。温和で、中国共産党の権威に挑むものではまったくなかったが、流行を食い止められなかったことについて責任を追及する考えを示しただけで、中国国内で2カ月にわたり数千万のネットユーザーの袋叩きに遭い、脅迫を受けた。この「私はウイルス――武漢ロックダウン日記」は、方方氏と同じく武漢で暮らす一般市民の男性「阿坡(A.PO)」が、中国共産党を批判する反省の書として記したものだ。「一人の健全な精神を持つ中国人」として、世界に向けてお詫びの気持ちを示したいという。阿坡は、中国の「勝利宣言」を額面通りに受け取ってはいけない、と警告する。この国は命を軽視しすぎている、と。
【写真】マスク不足からミカンの皮で作ったマスクをする武漢市民
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■2020年2月13日 火葬炉がフル稼働、作業員は3時間睡眠(10)
今次の災難、多くの人が多くの苦難を味わい、多くの人がそれぞれ違った方法でそれを記録していることを私は知っている。過去20日間、私はこの上ない惨劇を目にし、涙し、何日もその中にはまり込んで抜け出すことができなかった。
今日、SNSの微博(ウェイボー)で全国各地の葬儀場が湖北省と武漢を支援しているという公開情報を見た。短い言葉でも人の心を十分押しつぶす。
■圧倒的な人手不足
心ある人がネットで探し当てたデータによると、武漢には7つの葬儀場、84台の火葬炉があり、1日最大2016の遺体を灰にすることができる。ある葬儀場責任者が外に漏らした通話の録音記録によると、1月23日から彼らの仕事量に異常が起きたという。悲惨なことに、以降全職員が1日3時間睡眠となり(通常仕事は半日)、超負荷での作業を強いられ、圧倒的に人手不足となった。
今はこの情報の背後にあるデータを推理し数字をはじき出す気にはなれないが、私は自分を不断に叱咤し、こうした息を詰まらせるような悲嘆から抜け出て、できるだけ早く何かを始めよう。