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エリートほど、相手に譲る気持ちが強く、感謝の気持を忘れない。「アフターユー」精神が生み出す良好なサイクルと、「ありがとう9割」の真髄とは? ゴールドマン・サックス、マッキンゼー&カンパニー、ハーバード・ビジネススクールを渡り歩いた、ベリタス株式会社代表取締役・戸塚隆将氏の著書『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』から、エリートがエリートたる所以を紹介する。
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■「アフターユー」が生み出す良好なサイクル
心に余裕があると、行動にも余裕が生まれます。
行動に余裕があれば、心にも余裕が生み出されます。
これは、ポジティブ思考が良い結果を生み出し、良い結果がさらにポジティブ思考を生み出すサイクルに似ています。まずは心の持ち方や思考を変え、行動を変えていく。鶏が先か、卵が先かの議論では、まずできることから取り組んでみることです。
動き出せば、あとは好循環が生まれるものです。
私は、心に余裕を持つ意識を保ち続けるために、日頃「アフターユー」を大事にしています。単純に言えば、ドアを開けて建物に入る時、狭い通路を歩く時、なるべく相手に道を譲る、という心がけです。
相手に譲る気持ちは、相手に必ず通じます。譲られた相手は、こちらに感謝をしてくれます。そして次に、相手は自分に対してお返しに、道を譲ってくれる。お互いが相手を思う気持ちは必ず伝播(でんぱ)していくため、人間関係も良好なサイクルに入ります。
■ハーバードの「アフターユー」精神
ゴールドマン時代、忘れられない小さな出来事がありました。
ニューヨークの研修に参加している時のことです。世界中から集まった新人同期が一堂に会し、1カ月間タフなトレーニングを受けました。会社主催の懇親パーティーがあった夜のことでした。一緒に出席した同期と共に、ホテルに帰りました。立食パーティーで少々立ち疲れし、お酒もまわっていた我々がエレベーターに乗り込んだときのことです。
私と同期の部屋は別の階でした。無意識に2人は、相手の降りる階のボタンを同時に押し合いました。私は同期の降りる7階を、同期は私の降りる13階を押しました。
お互いが相手を優先しようとする無意識の行動が何とも嬉うれしく感じました。そして、譲り合うとはいいものだと改めて実感しました。